婚姻費用はいくら?婚姻費用の算出表の見方を画像付きで解説
婚姻している(婚姻期間にある)夫婦の共同生活において必要な費用を、婚姻費用と呼びます。
夫婦は、その収入と資産に応じて婚姻費用を分担することを義務付けられています。
婚姻期間は、結婚から死別、あるいは離婚までを示すものですから、別居の期間もそこに含むこととなります。
しかし別居で家計が別れる場合に、別居期間の婚姻費用について、しばしば夫婦の間で争いとなります。
そのため、家庭裁判所では、義務者(婚姻費用の分担上、支払いを求められる側)、権利者(婚姻費用の支払いを求める側)それぞれの年収と、二人の間にいる子供の人数ごとに、支払い額の目安を決めています。
裁判所のホームページ内に婚姻費用の支払額の目安が表にまとめられており、下のリンク先で公開されています。
婚姻費用算定表の見方を画像付きで解説
表10~が婚姻費用の表で、家族構成(子どもの人数・年齢)ごとに表があります。
表の縦軸が義務者、横軸が権利者の年収です。自営業者と給与所得者でも算定の基準が分けられています。
縦軸と横軸の交わる場所に記載されている金額が、婚姻費用の月額目安となります。
では、実際に表を見てみましょう。
モデルケースとして、以下のような家庭を想定します。
まずは、子どもの人数と年齢に着目します。
この家庭の子どもは1人、6歳ですから、使用するのは表11です。
右上の①を見ると、「表11 婚姻費用・子1人表(子0~14歳)と記載されていることがわかります。
使用する表が決まったら、別居することになる夫、妻の年収から、それぞれ縦軸、横軸で見るべき位置を決定します。
このとき基準となる年収は、直近の源泉徴収票、市民・県民税の課税証明書などを元に決定されることが多いです。
(ただし支払い義務が発生する時点で、年収が大きく増減する場合はこの限りではなく、直近の給与明細から概算される場合もあります。)
自営業者の場合は、確定申告書に記載の金額となります。
今回の場合、
夫の年収 | 25万円×12ヶ月、ボーナスがない想定のため300万円 |
妻の年収 | 15万円×12ヶ月、ボーナスがない想定のため180万円 |
となり、夫の年収が妻より多いため、縦軸「義務者」を夫、横軸「権利者」が妻となります。
給与所得者の軸は表の外側の軸となるため、それぞれ一番近い金額を確認します。
図中の②が夫、③が妻の年収です。 それぞれの年収の位置からまっすぐ線を伸ばし、交わった④が、義務者から権利者に支払われる婚姻費用の月額目安となります。
今回のモデルケースの場合、夫から妻へ2~4万円月に支払うのが目安、ということになります。
家庭裁判所での調停、審判では、この表を目安に婚姻費用を算定します。
あくまで目安であり、各家庭の環境によって上下するため必ずしも裁判所の判断がこの表と一致するものではありませんが、逆にこの表から大きく外れることもなかなかありません。
この算定表で婚姻費用を決定することがあまりに不公平である、特別な事情がある場合に限られます。